周りの空気を読めないと、ちょっと浮いてしまうことがあります。
時には、友達との関係に深刻な問題となることも珍しくはありません。
空気を読むって、どんなことなのでしょうか?
何となく大人は理解していますが、子供にうまく伝えることができますか。
「これが空気を読むってことだよ!」
子供に伝え、ましてや理解させるのは意外と難しいことです。
ここでは、空気を読むということを「周りの雰囲気をつかむこと」とします。
小学校では、空気を読むって重要なことですよね。できれば、わが子にはある程度空気を読めるようになって欲しいと思うのは親心というものです。
このある程度というところは大事なところで、常に空気を読んで行動する必要はなく、周りのみんなと同じくらいになってくれればいいのです。
今回は、周りの空気を読むのが苦手なお子さんへの、雰囲気をつかませるための練習方法についてまとめます。
なぜ空気が読めないのか?
子供が周りの空気を読めない原因には、主に次のようなものがあります。
・自分の経験と重ならない
・つい思ったことを言ってしまう
例えば、自分が大切にしているおもちゃを無くしたとします。
すごく悲しい気持ちになり、あちこち探すと思います。
大切な物を無くすと悲しいということを学ぶことになります。
友達が大事な物を無くして困っているとき、自分の経験と重ねて考えることができます。
でも、自分で経験したことが無い気持ちについては、どんな気持ちかわかりませんし、自分の経験と重ねることも難しいです。
空気を読むための第一歩は、自分や相手の気持ちを理解するということになります。
気持ちを理解するために必要なこと
自分や相手の気持ちを理解するために必要なことは、いろいろな気持ちについて知ること、どんなときにその気持ちになるのか知ることです。
顔の表情から気持ちをよむことも必要になってきます。
いろいろな気持ちについては、小学生の場合に学校で多く使う言葉はこちらです。
・かなしい
・いやだ
・たのしい
国語や道徳の勉強でもよく使う言葉です。
しっかりと理解できているでしょうか。
特に「かなしい」「いやだ」といった気持ちの理解は大切です。
続いては、どんなときにその気持ちになるのか知ることです。
友達にからかわれる → いやだ
先生からほめられる → うれしい
仲良しの友達が転校する → かなしい
わかりやすいことは理解できているかもしれません。
では、こんな場合はどうでしょう。
友達は「やめて!」と何度も言っていたが、楽しかったので続けていた。
小学校ではよくあるパターンだと思います。
追いかけている“僕”は楽しいのですが、相手の友達はどうでしょうか?
何度もやめてと言っているので、嫌な気持ちでいると想像できます。
大人であれば、気づいて追いかけるのをやめるでしょう。(そんな遊びはしないと思いますが)
でも、楽しいと感じている“僕”は、「相手もきっと楽しいに違いない」と考え、相手が嫌な気持ちでいることに気づけないことが多いです。
少し空気を読むこととズレているように思うかもしれませんが、相手の気持ちを考えることができていないという点で共通しています。
「こんなとき、相手はどう感じているのだろうか」ということを考えることができるようになれば、自然と周りの雰囲気もつかめるようになっていくはずです。
それでは、周りの雰囲気をつかめるようになるための練習法です。
周りの雰囲気をつかむための練習方法
空気を読む、つまり周りの雰囲気をつかむためには、2つのステップで練習していきます。
相手の気持ちを考える練習と行動に移す練習です。
空気を読めない主な原因は、相手の気持ちを理解できていないことです。相手の表情から気持ちを考えたり、自分と重ね合わせたりすることが苦手なのだと考えられます。
ですから、まずは気持ちを考える練習からスタートします。
「うれしい」「かなしい」「いやだ」「たのしい」などの感情を、しっかりと理解することから練習します。
顔の表情がわかるイラストを準備します。そして、次のように話しかけながら練習していきます。
親:イラストの一つを指さしながら
「この人はどんな気持ちかな?」
子:「うれしい気持ちだと思う。」
親:「あなたは、どんなときにうれしいと思うの?」
子:「プレゼントをもらったときだよ」
親:「ほかには?」
子:「給食で好きなものが出たときもうれしいよ」
親:「そうだね」
「できなかったことが、できるようになったときはどう?」
子:「それもうれしい」
親:「ケンカした友達と仲直りできたときは?」
子「たぶん、うれしいと思う」
親:「うれしいって、いろんなときに感じる気持ちだね。」
イラストを指しながら
「友達がこんな表情のときは、きっとうれしいときだよ」
「うれしいって、心が、温かくなる気持ちだね」
同じように「かなしい」「いやだ」「たのしい」も、親子で話し合います。
次のステップは、行動に移す練習です。
特に大切なのは、「かなしい」「いやだ」のときにどうするかということです。
具体的な場面で、「こんなときには、どうすればいいの?」を親子で話し合って確認していくことが練習になります。
友達を遊びのつもりで追いかけて、背中にタッチしていた。
友達は「やめて!」と何度も言っていたが、楽しかったので続けていた。
親:例について説明する。
「こんなこと、学校でもよくあるよね」
子:「うん」「追いかけっこは友達としているよ」
親:「友達はどんな気持ちかな?」
子:「う~ん」
「わからないよ」
親:「何度もやめてと言っているよ」
子:「いやな気持ちかも…」
親:「そうだね」
「自分はたのしんでいるけれども、友達はいやな気持ちだね」
子:「自分と友達と、気持ちが違うね」
親:「じゃあ、こんなときはどうすればいいと思う?」
子:「やめる」
「ごめんって、あやまる」
親:「そうだね」
「友達はいやな気持ちだから、すぐにやめて謝った方がいいね」
「同じようなことが学校であったときに、できる?」
子:「うん」
親:「本当にできるか、今からやってみよう」
最後は、親が友達役となって、同じ場面を再現してみましょう。
そして、子供にきちんとやめるタイミング、あやまるタイミングを教えてあげます。
このような、学校でよくありそうな場面を考えて練習していけば、子供は少しずつ相手の気持ちに気づくようになり、周りの雰囲気をつかめるようになっていくと思います。
無理しない程度に、親子で練習してみてください。